【出し忘れ厳禁】事業報告書と事業実績報告書/事業拡大ストップの恐ろしいリスク

「今期の決算も無事に終わった。税理士さんに申告もお願いしたし、これで一安心だ」
もしそう思われている社長がいらっしゃったら、少しだけ待ってください。 実は、運送事業には**「税務署への申告(決算)」とは別に、毎年必ず「運輸局」へ提出しなければならない報告書**があるのをご存知でしょうか?
税理士さんは税金のプロですが、運送業法のプロではないため、この「運輸局への報告」まではカバーしていないケースがほとんどです。 今回は、意外と忘れがちだけど、忘れると後で大きな痛手となる「2つの報告書」についてお話しします。
1. 性質の違う「お金」と「実績」の報告書
運送事業者が提出しなければならない書類は、大きく分けて2種類あります。
① 事業報告書(「お金」の報告) 会社の決算内容を、運輸局のフォーマットに合わせて報告するものです。「この会社は財務的に健全に運営されているか?」を行政がチェックするための資料です。
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提出期限: 毎事業年度の終了後 100日以内
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内容: 貸借対照表、損益計算書など
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注意点: 決算月から3ヶ月ちょっとしか猶予がありません。税務申告が終わったら、すぐに着手する必要があります。
② 事業実績報告書(「輸送」の報告) こちらは「1年間でどれくらい運んだか」「事故はなかったか」という実績を報告するものです。
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提出期限: 毎年 7月10日(全事業者共通)
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対象期間: 前年4月1日〜当年3月31日
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内容: 走行距離、輸送トン数、事故件数など
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注意点: 決算時期に関わらず、すべての運送会社が7月10日までに提出する必要があります。
2. 未提出だと、いざという時に「動けない」
「忙しいし、少しぐらい遅れても大丈夫だろう」
その気持ちは痛いほど分かりますが、提出を怠ると、会社が成長しようとした時に大きなブレーキがかかってしまいます。
リスクその①:行政処分の対象になる 運輸局の監査が入った際、これらの未提出は行政処分の対象となります。 初回は警告で済むこともありますが、何度も繰り返すと「車両の使用停止処分」など、営業そのものを止められてしまうリスクがあります。
リスクその②:増車やGマーク申請ができなくなる 実は、経営者にとって一番怖いのはこちらかもしれません。 営業所を増やしたい、車庫を広げたい、Gマークを取りたい、補助金を申請したい……。そう思って手続きをしようとした時、「報告書が未提出なので受付できません」と言われてしまいます。
「未提出」というだけで、新しい仕事のチャンスや会社の成長を自ら止めてしまうことになります。
3. 案内は来ません! 自社管理が必須です
ここが一番の落とし穴なのですが、運輸局からは「もうすぐ期限ですよ」というハガキや案内は一切来ません。
税務署や年金事務所とは違い、運送業の報告書は「事業者が自分で管理して、勝手に出す」のがルールなのです。
「案内が来ていないから知らなかった」は通用しません。カレンダーに大きく花丸をつけておくか、専門家に管理を任せる必要があります。
最後に:面倒な手続きこそ、専門家にお任せください
コンプライアンスが厳しく問われる今、「報告書を毎年きちんと出している」ということは、「ルールを守れる信頼できる会社である」という証明でもあります。
とはいえ、日々の配車や経営で忙しい中、慣れない書類作成に時間を割くのは大変かと思います。 「うちはちゃんと出せているかな?」「期限管理まで手が回らない」という場合は、ぜひ行政書士にご相談ください。
面倒な書類作成は私たちが引き受けます。社長はぜひ、本業の「運ぶ仕事」と「会社の未来」に集中してください。
引用・参考
動画での解説はこちら
執筆:行政書士法人あゆみ 松本 亜由美
