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行政処分よりも怖い?! 運送会社を5年間苦しめる「ネガティブ情報検索サイト」

今回は行政書士の視点から、行政処分が会社にもたらす「本当のリスク」についてお話しします。実は、処分そのものよりも、その後に残る「デジタル上の記録」こそが、会社の未来を左右するのです。
行政処分について「車両停止期間をやり過ごせば終わり」だと思っていませんか? もしそう考えていらっしゃるなら、それは今の時代、経営にとって致命的な誤解になりかねません。

会社の信用が「丸裸」にされるリスク

現在、国土交通省は「ネガティブ情報等検索サイト」というシステムを運用しています。 これは、インターネット環境さえあれば、誰でも・いつでも・特定の運送会社の過去の処分歴を検索できるというものです。

ここで公開される情報は、皆さまが思っている以上に詳細です。

  • 会社名・代表者名・営業所名

  • 処分を受けた年月日

  • 「なぜ、どのような違反をしたのか」という具体的な内容

  • 違反点数

単に「処分を受けた」という事実だけでなく、「点呼をやっていなかった」「健康診断を受けさせていなかった」といった内情まで、すべて誰にでも見られる状態で公開されてしまいます。 いわば、会社の「前科」がネット上に張り出されているような状態です。

最も恐ろしいのは「5年間消えない」こと

このサイトの最大のリスクは、情報の掲載期間にあります。 一度掲載されてしまうと、最低でも5年間は消えることなく残り続けます。

かつては3年で消えるケースもありましたが、現在はルールが厳格化されました。 この「5年」という期間は、経営においてあまりにも重い数字です。新規顧客の開拓、銀行からの融資、そしてドライバーの採用……あらゆる場面で、この記録が足かせとなってしまいます。

荷主は「安全」をデータで見ている

最近の荷主企業は、単に「運賃が安い」という理由だけでは運送会社を選びません。 コンプライアンス重視の流れの中、荷主が最も恐れるのは「委託先の事故や不祥事による、自社ブランドの毀損」です。

そのため、大手企業や意識の高い荷主の間では、「取引開始前に必ずネガティブ情報サイトをチェックする」ことが常識となっています。

検索して社名が出てきた時点で、「この会社は安全管理に問題がある」と判断されてしまう。 その結果、見積もりの土俵にすら上がれなかったり、長年の取引先からリスク回避のために契約を打ち切られたりする――そんな悲劇が、現実に起きています。

軽貨物事業者も「対岸の火事」ではない

「うちは軽貨物だから関係ない」というのも、過去の話です。 ネット通販の拡大に伴う事故増加を受け、現在は貨物軽自動車運送事業(軽貨物)も検索対象に含まれています。

規模の大小に関わらず、すべての運送事業者が「常に監視の目にさらされている」と考えるべきでしょう。

「当たり前の徹底」こそが最強の防衛策

では、このリスクから会社を守るにはどうすればいいのか。 答えはシンプルで、**「法令の徹底遵守」**しかありません。

  • 運行管理者による確実な点呼と記録

  • ドライバーの健康状態の把握

  • 無理のない配車計画

これらは単なるコストや手間ではなく、会社と従業員の生活を守るための**「投資」**です。 行政処分を受けてから後悔しても、失った5年間の信用を取り戻すのは至難の業です。

安全こそが最大の営業ツール

運送業において、安全は何よりも優先されるべき「商品価値」です。 行政処分というリスクを回避し、ルールをしっかり守る体制を作ることは、窮屈なことではありません。むしろ、「うちは安全な会社です」と堂々と胸を張れることこそが、これからの時代を生き残る最強の武器になります。

今一度、自社の安全管理体制を見直してみてください。その一歩が、5年後、10年後の会社の未来を決めるはずです。

引用元・参考情報

動画での解説はこちら

執筆:行政書士法人あゆみ 松本 亜由美

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