TOPICS

「白ナンバーダンプ」が招く最も重いリスクと回避する方法を徹底解説

建設・運送業界で長年問題視されている「白ナンバーダンプ」による有償運送。

「うちの会社は大丈夫だろう」「慣習だから仕方ない」…そう思っている、そこのあなた。その認識の甘さが、取り返しのつかない事態を招くかもしれません。

法律の専門家として、なぜこの行為が許されないのか、

「白トラ行為」と呼ばれる無許可営業の実態と、見過ごすとどのような悲劇が起こるのか、真剣にお話しします。

あなたの常識は通用しない!ナンバープレートの色の「なぜ」

建設現場などで、土砂などを運ぶ白いナンバープレートのダンプ。一見すると当たり前の光景に見えますが、もしそれが他社の荷物を、運賃をもらって運んでいるという実態であれば、それは明確な法律違反となります。

なぜなら、ナンバープレートの色には、国が定めた明確な意味があるからです。

  • 白ナンバー(自家用) 
    • 目的: 自分自身の荷物、自社の製品、購入した資材などを運ぶこと。
    • 特徴: 他人の荷物を運賃(報酬)をもらって運ぶことは許されていません
  • 緑ナンバー(事業用)
    • 目的: 他人の荷物を有償で、運賃をもらって運ぶこと
    • 特徴: 一般貨物自動車運送事業の許可(国の許可)が必須です。この許可なくして、他人の荷物を有償で運ぶことはできないのです。

つまり、ダンプで土砂を運ぶこと自体が問題なのではなく、国の許可(緑ナンバー)を得ずに、

運賃を対価として他人の荷物を運ぶ行為こそが、貨物自動車運送事業法に違反する「無許可営業」なのです。

※緑ナンバーは「運送のプロ」 緑ナンバーはお客様の荷物を有償で運ぶ「営業用」、白ナンバーは自社の荷物を自社の車で運ぶ「自家用」です。(国土交通省資料より要約)

見過ごされがちな「脱法行為」の最も危険なグレーゾーン

「うちは元請けから土砂を一旦買い取って、自社の荷物として運搬しているから大丈夫」「運賃としては請求していない」とおっしゃる方がいます。

しかし、これは極めて危険な脱法行為なのです。

形式的には売買契約を結んでいても、

その輸送の実態が、形式的な売買を隠れ蓑にした運送であると警察や運輸局に判断されれば、言い逃れはできません。

法は、形式ではなく実質を厳しく見ています

過去にも、こうした形式的な契約ではなく、実質的な運送行為として処罰されたケースはいくつもあるのです。

目先の利益や手間を省くために、安易に法律の解釈を曲げるような行為は、絶対にやめてください。その行為が、会社と従業員の未来に影を落とします。

逮捕リスクはドライバーだけではない!荷主側も免れない責任

もし違法な白トラ行為が発覚した場合、罰則は運送を行った会社や運転手だけにとどまりません。

これが、この問題の最も恐ろしい点なのです。

最も重いリスク:関わったすべての企業・個人が処罰の対象

  1. 運送側(白ナンバーの会社・運転手)
    • 罰則: 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(貨物自動車運送事業法違反)
    • 摘発され逮捕されるケースも増加傾向にあります。一度逮捕されてしまえば、事業継続は極めて困難になります。
  2. 荷主側(仕事を発注した元請け・依頼主)
    • 罰則: 無許可営業の幇助犯(ほうじょはん)として処罰される可能性があります。実際、荷主側が逮捕されている事例も存在します。

もはや「知らなかった」「下請けに任せていたから関係ない」では済まされない時代になったのです。

違法な業者と取引すること自体が、発注元の会社の社会的責任を問われる重大なリスクになります。

全日本トラック協会も、業界全体の安全と公正な競争を守るため、違法な白トラ行為の取締り強化と、

荷主に対する指導の徹底を関係機関に働きかけています。これは、違法行為を許さないという社会的な強い意志の表れだと考えます。

法律を遵守することが、最高の信用につながる

では、どうすればいいのでしょうか。答えはシンプル、そして一つです。

正々堂々と緑ナンバーを取得し、コンプライアンスを遵守した事業を行うことです。

緑ナンバーを取得すると、たしかに運行管理者や整備管理者の選任など、安全管理の義務がたくさん増えます。

しかし、これらは事故を防ぎ、社会的な信用を得るために不可欠なコストなのです。

そして何より、法律を遵守し、安全運行に取り組んでいるという事実は、最大の信頼として、お客様や荷主へ伝わります。

  • 安定した受注の確保
  • より良い条件での取引

目先のコスト削減のために危険な道を選ぶのではなく、安全と信頼という強固な土台の上に事業を築くことこそが、

持続的な成功をもたらすのです。

もし、今、ご自身の事業のやり方に少しでも不安がある、これから適法に事業を拡大していきたいと考えているなら、

弊社ににご相談ください。

皆さんがコンプライアンスを遵守し、健全に事業を成長させるための最適な道筋をご案内できます。

全社でコンプライアンス意識を高め、こうした違法行為を社会からなくしていきましょう。

それが、皆さんの会社、業界、そして日本の未来を守る、唯一の方法です。

引用元・参考情報

こちらの記事のテーマとなった動画は、下記よりご覧いただけます。

執筆:行政書士法人あゆみ 松本 亜由美

新着記事

記事一覧