運送業許可が「更新制」へ!債務超過・長時間労働で数年後に許可を失う可能性があります。

突然ですが、今お持ちの運送業許可を「一度取ったら永久に有効なもの」だと思い込んでいませんか?
実は、その常識が大きく覆ろうとしています。
国の物流政策の転換により、貨物自動車運送事業の許可は、「5年ごとの更新制」へと変わります。
これは、事業の継続的な質を国が担保するための、極めて重いルール変更なのです。
この事実を知らないまま漫然と事業を続ければ、数年後、突然あなたの許可が失われ、事業を停止せざるを得ないという最悪の事態に繋がりかねません。
私たちは今、大きな変化の波の前に立っています。
あなたの会社と社員を守るため、今すぐ取り組むべき最重要チェックポイントを、専門家として解説していきます。
【警告】運送業許可は「更新制」へ!あなたの常識が覆る時
これまで1度取れば、永久に事業を継続できた許可が更新制になる背景には、
「安全性の低い事業者」や「労働環境を無視する事業者」を市場から退出させる!
業界全体のレベルを引き上げる!という国の強い意志があります。
運送業は、人命と社会のインフラを担う公共性の高い事業です。「許可を持ち続けること=事業を適正に運営し続けていること」を定期的に証明できなければ、
もはや事業を継続することは許されない時代になったのです。
付け焼刃の対策では、この審査は突破できません。今すぐ、事業の根幹を見直す必要があるのです。
許可更新時に厳しくチェックされる「3つの生命線」
更新制の正式な基準は今後発表されますが、
法改正の目的から鑑みて、特に以下の3つの項目が極めて重要になると予想されます。
この3つは、あなたの会社の「安全」「人」「お金」という、事業の生命線そのものなのです。
1. 安全の土台:厳格な「運行管理体制」の確立
審査で最も基本となるのが、日々の安全管理が正しく行われているか、ということです。
運行管理体制が適正に機能しているか、以下の点が厳しく問われます。
- 点呼の実施:形だけではなく、ドライバーの健康状態や疲労度を正確に把握する質の高い点呼が実施されているか。
- 適切な運行指示:無理のない運行計画に基づき、適切な運行指示が出されているか。
- 管理者の選任:運行管理者や整備管理者が、法令に基づいて正しく選任され、その職責を果たしているか。
これらの安全管理体制が、「更新審査のための付け焼刃の対策ではない」ことを見抜かれます。
この継続的な安全への取り組みを示す上で、Gマーク(貨物自動車運送事業安全性評価事業)の取得は、今後さらに重要度を増すことになります。
2. 2024年問題の核心:「ドライバーの労働環境」整備
これは、まさに「人を大切にする企業か」を問われる項目です。
- 改善基準告示の遵守:長時間労働を防ぎ、ドライバーの健康を守るための基準を順守しているか。
- 適切な賃金・社会保険:ドライバーに適正な賃金を支払い、社会保険に加入させているか。
「うちは大丈夫」と思っていても、気づかぬうちに長時間労働が常態化し、法令違反の状態になっているケースは少なくありません。
労働時間を適切に管理し、正確に把握し、そして改善していく具体的な取り組みがなければ、許可更新は大きなリスクとなるのです。
3. 事業継続の体力:「財務の安定性」確保
安全や労働環境の確保には、健全な経営が不可欠です。
事業を継続する体力があるか、つまり「お金の面は大丈夫か」が厳しく問われます。
最も重いリスク:債務超過
具体的には、自己資本がマイナスになっていないか、いわゆる債務超過の状態は絶対に避けなければなりません。
債務超過は、事業の土台が崩壊しているサインであり、更新の基準を満たせない可能性が非常に高いのです。
さらに、社会保険や税金などの滞納がないかも厳しくチェックされます。どんぶり勘定の経営では、もはや許可の維持は難しくなる、そんな時代が来ているのです。
最後に:今すぐ「許可更新」の準備を始めましょう
運送業許可の更新制は、遠い未来の話ではありません。今から準備を始めるかどうかが、数年後の事業継続を左右します。
- 安全:運行管理体制の強化とGマークへの取り組み
- 人:労働時間の適正管理と法令順守
- お金:債務超過の解消と財務基盤の安定
この3つの生命線を今すぐ点検し、整備を始めてください。この大きな変化を「危機」ではなく、「まじめな事業者が報われるチャンス」と捉え、ともに乗り越えていきましょう。
※許可更新についての新しい情報(更新基準や要件等)が分かり次第、いち早くこちらで解説したいと思います。
引用元・参考情報
- 国土交通省
- 全日本トラック協会
執筆:行政書士法人あゆみ 松本 亜由美
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