Gマークはなぜ必要?運送事業者が知っておくべきメリットとリスク
はじめまして。運送事業者様を専門とする行政書士として、日々皆様の安全と事業の発展を願っています。突然ですが、皆様は「Gマーク」について、どうお考えでしょうか?
「なんとなく聞いたことはあるけれど、必要性がわからない」 「取得する手間が大変そう」 「うちのような小規模な会社には関係ない」
もしそう思っていらっしゃるなら、それはとてももったいないことです。Gマークは、単なる会社の「信頼の証」ではありません。実は、皆様の事業を強くし、未来を切り開くための非常に強力なツールなのです。
今回は、Gマークがなぜ必要不可欠なのか、見過ごすとどんなリスクがあるのかを、専門家の視点からお話しさせていただきます。
なぜ今、Gマークが必要なのか?
読者の皆様は、常に「いかにして安全を確保するか」「どうすれば事業を継続・拡大できるか」という課題に直面していることでしょう。Gマークは、まさにその課題を解決するための道しるべとなるのです。
1. リスク管理と事業継続性
Gマークは、貨物自動車運送事業法に基づき、事業者の輸送の安全性を評価する制度です。このマークを取得することは、法律や規則を遵守し、高い安全基準を満たしていることの証明となります。
特に重要なのが、違反点数の取り扱いです。通常の事業者様は、違反点数が3年間残りますが、Gマーク事業所は新たな違反がなければ、わずか2年で点数が抹消されます。これは、一度のミスが事業に与える影響を大きく軽減する、非常に重要なメリットなのです。
2. 深刻化する人材不足への対策
運送業界全体で、ドライバー不足は喫緊の課題となっています。この課題解決のために、政府は特定技能外国人の活用を推進していますが、その受け入れ条件の一つとして、Gマークの取得が定められています。
Gマークを取得することは、単に外国人労働者を雇うだけでなく、会社の安全体制をアピールすることで、国内外問わず優秀な人材を確保するための大きな武器になります。これは、事業の持続的な成長に欠かせない要素です。
3. 経営効率の向上とコスト削減
「Gマークは信頼の証」というイメージが強いかもしれませんが、実は具体的なコスト削減効果や業務効率化のメリットも非常に大きいのです。
- 助成制度の優遇: Gマーク事業者は、IT機器や自動機器の導入に対する助成金の上限が引き上げられるなど、様々な助成制度で優遇されます。これにより、初期投資の負担を軽減しながら、最新の設備を導入し、業務効率を向上させることが可能になります。
- 点呼業務の効率化: IT機器を活用した遠隔地での点呼や、同一敷地内のグループ企業間での点呼が可能となり、日々の業務にかかる手間と時間を大幅に削減できます。
- 特殊車両通行許可の有効期限延長: 特殊車両通行許可は通常最長2年の有効期限ですが、Gマーク事業者では最長4年に延長されます。これにより、申請にかかる時間や費用を大幅に節約できます。
これらのメリットは、日々の小さな積み重ねが大きな経営改善につながることを意味します。
Gマークを取得しないことの「リスク」
Gマークを取得しないという選択肢も、もちろんあります。しかし、それは、これらのメリットをすべて手放すということに他なりません。
最も重いリスクは、市場競争力の低下です。
荷主様は、より安全で信頼できる運送会社を求めています。Gマークは、その選択において最もわかりやすい指標の一つです。Gマークがないことで、新たな取引先との契約機会を失ったり、既存の荷主様からの信頼が揺らいだりする可能性があります。
「今までのやり方で十分だ」 「取引先との信頼関係があるから大丈夫」
そのお気持ちはよく分かります。しかし、法改正や社会のニーズは常に変化しています。Gマークは、変化の激しい時代を生き抜くための「羅針盤」なのです。
このブログを読んでくださった皆様が、Gマークの真の価値に気づき、より安全で、より強く、より儲かる運送事業を築いていくことを心から願っています。
引用元・参考情報
本記事の元になった動画はこちら
本記事の内容は、YouTubeチャンネル「あゆみのうんそうラボ」の以下の動画を参考に執筆しました。
執筆:行政書士法人あゆみ 松本 亜由美