【運送事業者向け】あなたは大丈夫?逮捕されます!白ナンバーダンプの危険性【貨物自動車運送事業法】
「白ナンバーでも、まあ大丈夫だろう」
もしもそう考える運送事業関係者がいるならば、それは非常に危険です。
先日ニュースになった無許可運送業者の逮捕は、誰もが直面しうるリスクを示しています。
今回は、この事件を例に、なぜ白ナンバーでの有償運送が犯罪になるのか。
そして業界に長年存在した「大丈夫」という誤解の真実について、法律に基づき解説します。
事件の概要:日常に潜む「逮捕」のリスク
岐阜県警は先日、国土交通大臣の許可を得ずに、自家用の白ナンバー大型ダンプカーで砂利の有償運送を営んでいた親子を逮捕しました。
彼らは「10年以上前からやっていた」と容疑を認めており、仕事を下請けさせていた会社役員も、法律違反幇助の疑いで逮捕されています。
産経新聞より
https://www.sankei.com/article/20250710-GCPLJNIG6VK3NJWXLZAI3IADNI/
メーテレニュースより
https://youtube.com/shorts/7Sa8UynrTk0?si=8rm_WElJeXxuztvn
これは、他人事ではありません。
安易に「白トラ行為」に手を染めると、逮捕されるリスクを背負うことになるのです。
法律が定める「緑ナンバー」の重み
他人の荷物を「有償で」運ぶには、国土交通大臣の許可が必要です。
この許可を得て初めて交付されるのが、事業用車両を示す緑ナンバーです。
これは「申請書を作って出す→許可をもらう」という単なる手続きではありません。
プロの事業者として、厳格な安全管理体制を維持し、社会の信頼を守るための証明なのです。
一方、白ナンバーは自家用車です。
自社の荷物を運ぶことはできても、他人の荷物を運んで運賃を得る行為は法律で厳しく禁じられています。
「ダンプなら白ナンバーでも大丈夫」という間違った認識
では、なぜ「白ナンバーでも大丈夫」という風潮が広まったのでしょうか?
その背景には、過去の商慣習と法律の解釈の曖昧さがありました。
「運賃」という名目ではない運送は大丈夫だ、という自己解釈や、
安価な白ナンバー業者が現場で黙認されてきた歴史があったからです。
しかし、もうその時代は終わりました。
現代では、経済的な利益を得ていれば、名目がどうであれ「有償運送」と見なされます。
行政の取り締まりも厳しくなり、安易な自己解釈は通用しません。
仕事を出した側も逮捕される
今回のニュースで、見逃してはいけない重要な点があります。
それは、違法な運送業者に仕事を依頼した会社役員も逮捕されたという事実です。
これは、「違法だと知りながら仕事を依頼すれば、犯罪に加担したとみなされる」ことを意味します。
コストを抑えるために安易に「白ナンバー業者」に運送を依頼することは、会社の信用とコンプライアンスを根底から揺るがす行為なのです。
この法律違反は、単なるルール違反では済みません。
貨物自動車運送事業法第七十条には、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処する」と、はっきりと明記されています。
今回の事件で逮捕された親子は、まさにこの法律に違反したのです。
この仕事に誇りを持つ、運送事業にかかわる皆さんだからこそ、
健全な事業経営をしていきましょう。
緑ナンバーは、お客様からの信頼、そして社会の安全を守るための証明です。
この意味を再認識し、胸を張れる事業を続けていきましょう。
執筆:行政書士法人あゆみ 松本 亜由美